「 怒るということはいたずらに精力を消耗するのであって、何の益するところがある。 」
出典:「精力の最善活用」 大勢 1巻1号 大正11年(1936)4月
(『嘉納治五郎大系』9巻10頁)
はじめに言い回しから。少し古めかしい「何の益するところがある」は<どんな得があるだろうか、何もない>と言ったところでしょう。
今回の「ひとこと」は<怒るということは、心身の力の無駄な消耗であって、何の利益もない>と怒ることを戒めています。
大正11年(1922)は嘉納治五郎師範の思想を見るとき特に注目される年です。それまでの考究の結果であり、その生涯の結晶というべき思想「精力の最善活用」(精力善用)を公式に発表した年だからです。
この思想は、講道館柔道の文化的な側面をさらに社会にアピールし、日本のならず世界を変えていこうという意図のもと立ち上げられた「講道館文化会」の設立と同時に発表されました。かかる重要なタイミングでの発表であったことに、嘉納師範の並々ならぬ意気込みがうかがえます。
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