【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第42回「同じ力を働かせるにしても、どれだけは職務のため、どれだけは自己の修養のため、どれだけは家族のため、または社会のためとか、それぞれ力の配り方を考え、しかもその用いる一切の力を少しも過誤のないように使わなければならぬ。」

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嘉納治五郎師範_MASTER JIGORO KANO

出典:「立身栄達の捷径」 有効の活動 5巻2号 大正8年(1919)2月
(『嘉納治五郎大系』2巻68頁)

過去のことを知ろうとする「歴史研究」。

この歴史研究に欠かせないのが<史料>ですが、その中でも、特に貴重とされるものが、直筆による原稿や手紙、日記です。研究が進んでいる分野では、この史料の発掘・整理が進んでいます(史料がしっかり残っているからこそ、研究が進んでいるということもあるかもしれませんが・・・)。

さて、我らが嘉納治五郎師範ですが、同時代の著名人と比べた時、そういった整理が進んでいるとは言えません。その膨大な著作は『嘉納治五郎大系』という全集形式にまとめられていますが、もれた史料も多数あることが、近年明らかになっています。また、師範直筆の史料も含まれておらず、一般の人は接することが難しいのが現状です。

ただ、個人的に収集した師範の貴重な史料を公開し、多くの方々に見てもらおうとする人もいます。そういった趣旨から公開された史料の中に、師範が家族にあてたハガキ類があります。発信元は国内はもちろん、海外からのものも。また内容もひとこと、ふたことのものから、数行にわたるものまで存在します。

今のようにメールはもちろん電話も普及していなかった時代、主な連絡手段であったと思われる手紙。出先からでも家族のことを忘れず、常に気遣っていた様子がうかがえます。

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