【eJudo’s EYE特別編】上水研一朗氏との対話、阿部の右小内刈を媒介に「踏み込めなかった理由」を探る/東京2020オリンピック柔道男子66㎏級日本代表内定選手決定戦

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当日「早出し評」を脱稿した直後、東海大柔道部・上水研一朗監督に話をお聞きした。これだけの大試合、出来れば信頼する人の評を聞きたいと事前にお願いしていたものだが、この対話が「早出し評」の時点での筆者の大きな疑問であった「なぜ(丸山が)踏み込んで技を仕掛けられなかったのか」に一つの見立てを与えてくれるものであったので、独立して紹介させて頂く。氏は新聞で解説を行ってもいるので、紙面掲載が終わって少々時間を置いてからの配信とさせていただいた。ご了承願いたい。

聞き手:古田英毅

上水研一朗氏との対話

歴史的大一番は決着まで24分を擁した。史上最長試合である。 (写真提供:全日本柔道連盟)

――― まずは、試合を終えて。

凄まじい緊張感のある戦い、いいものを見たなというのが感想です。1つ1つの動作が全て意味のあるもので、まさに一挙手一投足を堪能できる戦い。こういってはなんですが、久々柔道が面白いと思いました。胸高鳴る、ドキドキする体験でした。

――― 試合のポイントは。

古田さんが事前評で書かれていた通り、阿部選手がどう丸山選手の釣り手を抑えるかというのがスタート。そして、上手く抑えていましたね。これを前提として、2つポイントを挙げていきます。最初のポイントは、2回の水入り。負傷の治療ですね。まず中盤、丸山選手の釣り手が生きるようになって来たところで、1回目の中断があった。体力面もそうですが、相手が乗ってきている段階で頭を整理しなおすのにこれはかなり良かったと思いますし、逆に丸山選手は気勢を削がれたように思いました。阿部選手が流れを持ち直しましたね。24分間お互いに気力・体力がどんどん削られていく中で、あの2回の「タイム」は非常に大きかったと思います。戦略・戦術的な改善を図る上で大きなポイント、実際にいずれも阿部選手がその後立て直してきた。勝負を決めた攻防も、その流れの中にあったと感じます。

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