【直前プレビュー】阿部vs丸山のライバル対決は決勝、阿部はヨンドンペレンレイ、丸山はアンとの対戦が山場/タシケント世界柔道選手権2022・男子66kg級

記事
  1. ホーム
  2. 記事
  3. 【直前プレビュー】阿部vs丸山のライバル対決は決勝、阿部はヨンドンペレンレイ、丸山はアンとの対戦が山場/タシケント世界柔道選手権2022・男子66kg級
阿部一二三


エントリーは44名。シード順を決定する基準が、例年の「大会直前のランキング」から「7月のグランプリ・ザグレブ終了時のランキング」に急遽変更され、シード順も「概況解説・シード予想」で示した予想から大きく変わった。

優勝候補の阿部一二三(パーク24)と丸山城志郎(ミキハウス)は、阿部が第4シードでプールB、丸山がノーシードでプールCと配置がトーナメントの上下に分かれた。

66kg級シード順。ノーシードの丸山はマルグヴェラシヴィリのプールCに入った。

実力的に最も厄介なアン・バウル(韓国)と、対戦するだけで消耗必至のヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)は、当初のシード予想では丸山の側にまとめて配置されるはずだったが、シード順がずれたことでこちらもトーナメントの上下に分かれて置かれた。それぞれアンが準決勝で丸山、ヨンドンペレンレイが準々決勝で阿部と対戦予定。両者ともにこの試合が最大の山場だ。

順当ならば、阿部は準々決勝でヨンドンペレンレイ、準決勝でデニス・ヴィエル(モルドバ)、一方の丸山は準々決勝でヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)、準決勝でアンと対戦予定。ただし、ヴィエルは組み合わせが厳しく、ここは対戦相手が変わる可能性も高い。丸山の方が3回戦に若手で活きの良い変則担ぎ技ファイターのウィリアン・リマ(ブラジル)との対戦が設定されている分やや重いものの、概ね同程度の勝ち上がり難度と言ってよいだろう。

阿部、丸山がともに平均値以上のコンディションならば、日本勢同士による決勝の実現が濃厚。試合内容の予想は「概況解説・シード予想」で述べているため割愛するが、今回も熱戦必至。絶対に見逃せない、全階級ナンバーワンの注目カードだ。

有力選手の配置、各プールの勝ち上がり展望は下記。有力選手の特徴については「選手名鑑」を、勢力図については「階級概況」を、組み合わせ山組は公式サイトで確認のこと。

【プールA】

デニス・ヴィエル

第1シード:デニス・ヴィエル(モルドバ)
第8シード:オルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)
有力選手:ストラヒンヤ・ブンチッチ(セルビア)、タル・フリッカー(イスラエル)、レナート・スラムベルガー(ドイツ)、アルベルト・ガイテロ=マルティン(スペイン)、フレディー・ヴァイツェネガー(スイス)、サルドル・ヌリラエフ(ウズベキスタン)ボグダン・イアドフ(ウクライナ)

強豪選手が詰め込まれた死のブロック。世界王者クラスは不在ながら、ヴィエルにオルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)、タル・フリッカー(イスラエル)、アルベルト・ガイテロ=マルティン(スペイン)、サルドル・ヌリラエフ(ウズベキスタン)と、今大会で表彰台圏内と目される強豪5名が詰め込まれた。さらに好選手ストラヒンヤ・ブンチッチ(セルビア)が配されており、この山だけでグランドスラムが開催できるレベルの高さとなっている。

上側の山はまず1回戦でフリッカーとブンチッチが戦い、その試合の勝者、恐らくフリッカーが2回戦でヴィエルと対戦、さらにその勝者が3回戦でガイテロ=マルティンとベスト8を賭けて戦うことになる。実力の最高値ならばヴィエルの勝ち上がりと予測するが、初戦となる2回戦がまさに鬼門。フリッカーには過去1勝6敗と大きく負け越しており、ブンチッチとも1勝1敗、勝利した試合でも「技有」を奪われるなど相性は決して良くない。さらにガイテロ=マルティンとの戦績でも1勝3敗と負け越している。2回戦に関しては、フリッカーには今年4月のグランドスラム・アンタルヤでは勝利しており、敗れたのはいずれも2019年以前、ブンチッチに敗れたのも不調が続いた時期と十分な勝機があるが、問題はガイテロ=マルティン。今年4月の欧州選手権で「指導3」で敗れたばかり。勝ち上がり予想は好調時の強さと世界選手権という舞台設定も込みでヴィエルと予想するが、誰が勝ち上がってもおかしくない。

サルドル・ヌリラエフ

一方下側の山は3回戦のサファロフvsヌリラエフが山場。スタッツではサファロフが2勝1敗2連勝中と有利だが、今回の開催地はヌリラエフのホーム。順当ならばサファロフの勝利と予想するが、こちらも勝敗が揺れる可能性十分だ。

よって、準々決勝の組み合わせはヴィエル、あるいはガイテロ=マルティンvsサファロフ、あるいはヌリラエフとなる。それぞれの過去の他薦成績は、上側をヴィエルが勝ち上がった場合にはサファロフと0勝2敗、ヌリラエフと2勝0敗、ガイテロ=マルティンが勝ち上がった場合はサファロフと2勝0敗、ヌリラエフと1勝1敗。ここでも前述の理由からあくまでもヴィエルを推すが、上記のとおり誰が勝ち上がるかで相性の有利不利が大きく変わることになる。阿部の準決勝の相手が誰になるのか、序盤戦は日本勢の勝ち上がりと同時に、この山の勝ち上がりの行方にも要注目だ。

【プールB】

有料会員記事(無料会員の方も月3本までお読み頂けます)
【残り2,154文字 / 全4,216文字】

スポンサーリンク