エントリーは34名。シード順を決定する基準が、例年の「大会直前のランキング」から「7月のグランプリ・ザグレブ終了時のランキング」に急遽変更され、シード順も「概況解説・シード予想」で示した予想から大きく変わった。
優勝候補の阿部詩(日本体育大4年)は当初のノーシード予想から第5シードに繰り上がり、準決勝でライバルのアモンディーヌ・ブシャー(フランス)との対戦が組まれることとなった。試合内容の予想については「概況解説・シード予想」で触れているため割愛するが、この試合が事実上の決勝。本トーナメントの最注目カードだ。
阿部は昨年の両肩の手術を経たことで「手術して良かった。こんなにも不安なく柔道が出来るのか、と驚いている」と語るなど上り調子。事実上の復帰戦となったグランプリ・ザグレブでも豪快な「一本」連発、キャリア出色の出来で優勝している。一方のブシャーは最後に出場した4月の欧州選手権ではチェルシー・ジャイルス(イギリス)に敗れて2位に終わっており、内容も精彩を欠いていた。半年空いたため、現時点ではしっかり仕上がっていると予想するが、この選手はメンタルの影響を大きく受ける傾向があり、どこかで躓くと一気に崩れる可能性もある。まずはベスト4入りまでの内容、特にブシャーの側の仕上がり具合に注目したい。
勝ち上がりの山場はともに準々決勝にあり、阿部がジェフェン・プリモ(イスラエル)、ブシャーが地元選手のディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)と対戦予定。阿部の側は実力差があるためほとんど問題なく勝利できると思われるが、ブシャーの側は揉める可能性がある。純実力面ではブシャーが数段上だが、ケルディヨロワは現在大会3連勝中と絶好調。加えて地元開催で相当に気合が入っているはずだ。性格的にも一度勢いに乗るとどこまでも調子を上げていくタイプのため、ここまでの勝ち上がりの内容次第ではブシャーに肉薄する展開も十分にあり得る。「ブシャーがフテて、ケルディヨロワが乗っている」というようなメンタル事情がクロスすれば、かなり面白い試合が期待出来るのではないか。注目度の高いカードだ。
有力選手の配置、各プールの勝ち上がり展望は下記。有力選手の特徴については「選手名鑑」を、勢力図については「階級概況」を、組み合わせ山組は公式サイトで確認のこと。
【プールA】
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