「最初はゆっくりと練習すべきであるが、後には、自然と速度を早め、しまいには真剣の時に役に立つように練習しておかなければならぬ。」
出典:「柔の形・緒言」柔道1巻2号 大正4年(1915)2月(『嘉納治五郎大系』3巻,179頁)
「乱取と形は車の両輪」、よく耳にする言葉です。
嘉納師範の存命中、「投の形」「固の形」「柔の形」「極の形」「五の形」「古式の形」「剛(柔)の形」「精力善用国民体育」の8種の形が講道館で制定されました。このうち師範が詳細な解説を残しているのは、「柔の形」と「精力善用国民体育」の2つになります。「精力善用国民体育」制定前は「柔の形」、「精力善用国民体育」制定後は、同形を最初に学ぶべき形としていることからも、この2つの形は他の形に比べて、重要度が高いものであったことが推測されます。
「柔の形」は一教から三教まであり、各教が5本、計15本からなっています。衣服を着たまま、また、道場以外でも行えることを前提にしているため、道衣を掴まず、投げないことが特徴です(※1)。最近までは昇段の際、女子のみが初段からその修得が義務づけられていたため、「女子の形」というイメージが強いのではないでしょうか(現在は男女同じで、「柔の形」は四段昇段時必修となっています)。
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