④三回戦/令和5年全日本柔道選手権大会・振り返り座談会

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座談会参加者。右から朝飛大氏、上水研一朗氏、西森大氏、司会の古田。

③二回戦(下)からつづく)
※座談会は5月2日・3日に行われました。

三回戦

原沢久喜(中国・長府工産)○優勢[有効・内股]△川田修平(九州・旭化成)

原沢久喜が内股「有効」

原沢が右、川田が左組みのケンカ四つ。川田が釣り手を下から突き、原沢が上から首裏に被せておいての引き手争いが続く。原沢引き手で僅かに袖を得ると、釣り手の肘を上げて巧みに力を外して右内股。直後の48秒、川田に消極的試合姿勢の「指導」。奮起した川田が釣り手を突いて前に出て引き手を求めると、原沢が嫌って下がる。川田の目論見通りに1分11秒原沢に片手のゼスチャーとともに「指導」が宣され、スコアはタイに戻る。続くターンは原沢が優勢。前に出るのは川田だが、原沢は釣り手を被せたまま対峙して得意の場外際の攻防に持ち込み、引き手を得るなり牽制を1度入れて思い切った右内股巻込。川田は大きく崩れる。ほぼ同じ展開から原沢が「内股・小内」を入れて崩した2分25秒、川田に消極的試合姿勢の「指導2」。川田はペースアップ、片手の左大外刈を交えて再び原沢をコーナーに追い込むも、横に動いて脱出した原沢はこの流れのまま引き手を掴み、前隅に引き出しながら右内股。川田の体が浮くとみるや巻き込みに連絡して体側から落とし、3分15秒「有効」を得る。ビハインドを負った川田は猛攻、右で右片襟を差す奇襲組み手を経由して良い形で組み勝つ。しかし割り切って潰れた原沢は寝技で時間を使い、続いて襲った川田の左足車もインパクトの前に谷落で抱き落として効かせず。ここで終了ブザーが鳴り、原沢の勝利が決まった。(戦評・古田英毅)

古田 原沢久喜選手と川田修平選手による3回戦第1試合。上水先生のほうからよろしいでしょうか。

上水 この試合、内股の「有効」が決勝点となりました。技の効果等々であまり言いたくはないのですけど、あれで決着をつけてしまうのだったら、もう少し見たかったなというのが正直な感想です。もちろん、勢いはありましたし、今の国際柔道連盟試合審判規定、いわゆる「IJFルール」であれば「技有」ですよと言われるかもしれないのですが…。先ほど出た話題と似ていますが、全日本選手権における「技の効果」の基準をはっきり、きちんと定めるべきだと思うんですよね。「有効」という色分けを持ち込んだのはいい。ただ、国際柔道連盟試合審判規定では「技有」相当であっても、同じ技が全日本選手権では「有効」ですらない、これもあり得るのではないかと。あくまで個人的な感覚ですが、この技にはそういう感想を持ちました。

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