「攻撃防禦の練習ということはどんなことをいうのであるかを明らかにしておかなければならぬ。」
出典:「講道館柔道概説(3)」柔道4巻1号 大正4年(1915)4月
(『嘉納治五郎大系』3巻130-131頁)
「攻撃防御の練習」というフレーズを見て、皆さんは何を思い浮かべましたか?
ピンと来なかった方、お手元の講道館館員証(昇段の際、配布される紫色のカード)を手に取り、裏返してみてください。
「柔道は心身の力を最も有効に使用する道である」という柔道の定義の後「その修行は攻撃防御の練習に由(よ)って身体精神を鍛錬修養し斯道の神髄を体得する事である」とその修行の方法が続きます。
最初の一文は、本連載の第1回、続くフレーズは第2回で取り上げた「柔道の本義とその修行目的」、現在の「嘉納(治五郎)師範遺訓」の一部です。
では、「斯道の神髄」、すなわち「柔道の神髄」を体得するために必要とされる「攻撃防御の練習」とは何か?その具体的な解説が、今回の「ひとこと」です。「攻撃防御の練習」それは乱取?それとも試合のことでしょうか?
早速、師範の説明を見てみましょう。まず「攻撃」とは何か?
柔道で言う攻撃とは「投、固、当の3種類に分けることにしておる」と師範は言います。つまり、「投」「固」「当」の3種類を併せたものが「攻撃」ということです。「投」「固」は、説明するまでもないかもしれませんが、「固(技)」については補足したいと思います。
「固」というと寝姿勢における攻防がイメージされがちですが、それだけではありません。国際柔道連盟試合審判規定で実施される試合では、見ることは出来なくなっていますが(※1)、立ち勝負においても、関節技や絞技を行うことは出来ます。「固技」=寝技・寝姿勢における攻防の技ではない、これは覚えておいていただきたいと思います。
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