【月刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第126回「多人数に襲われでもした時は、寝業ではその一人にしか対抗することが出来ぬ。」

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月刊・嘉納治五郎師範のひとこと
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多人数に襲われでもした時は、寝業ではその一人にしか対抗することが出来ぬ。

出典:「講道館柔道修行者の進級昇段の方針を述べて東京仙台両高等学校柔道試合に関する世評に及ぶ」
柔道4巻6号 大正7年(1918)6月 (『嘉納治五郎大系』2巻418頁)

「多人数に襲われる」。
一体、何を言っているのだ?!と思われた方もいらっしゃるでしょう。むしろ、今回の「ひとこと」を目にして、即座に腑に落ちる方は、ほとんどいないかもしれません。
<柔道は、畳の上で、一対一で行われ、危険な技はのぞいて行われるもの>として捉えている人にとって、このフレーズの意味は分かりにくいかもしれません。

柔道マンガの金字塔、ビッグ5の一つである「帯をギュとね!」(その魅力を語った「eJudoマンガ夜話」、未読の方は是非ご一読ください。前編 後編)。劇中で主人公・粉川巧とその仲間がトラブルに巻き込まれ、多人数でケンカになる場面があります。その中で俗にいう寝技に入った仲間を、他の仲間がガードする場面が出てきます。サラッと書かれてはいますが、一対一では、問題がない寝技でも、このようなストリートファイトでは危険なことが分かる描写です。

師範が「ひとこと」で言う、<多人数に襲われる>というフレーズは、まさにこういった状況を指しています。一対一、畳の上で規定にのっとり、安全に行われるのとは異なる講道館柔道。いわゆる「勝負」の面です。

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