⑥準決勝/令和5年全日本柔道選手権大会・振り返り座談会

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座談会参加者。右から朝飛大氏、上水研一朗氏、西森大氏、司会の古田。

⑤準々決勝からつづく)
※座談会は2023年5月2日・3日に行われました

準決勝

王子谷剛志(九州・旭化成)○優勢[技有・大内返]△田嶋剛希(東京・パーク24)

最終盤、ワンチャンスを待ち構えた王子谷が大内返「技有」

ともに右組みの相四つ。王子谷は引き手で襟を掴み、釣り手で奥襟を掴んで抱き込む。田嶋はコーナーに塩漬けとなるが軽挙せず、組み手、足技、位置関係と圧を細かくずらして我慢。56秒双方に消極的試合姿勢の「指導」。王子谷が出、田嶋は片襟、手合わせを交えて敢えて展開をスローに対峙。1分40秒、引き手で襟を掴んだ王子谷が右小内刈を使って奥襟を持つと、田嶋は引き手で横帯を握っての左釣腰でブレイク。王子谷立って耐えるが場内は大いに沸く。田嶋、3分11秒には引き手を争うと見せて左一本背負投。高く当て、低く体を落とす技で再び場内を沸かせる。王子谷は大きく技を掛けることはせず、丁寧に圧を掛けることに注力。最終盤、王子谷が引き手から襟を持つと、田嶋は釣り手で思い切って奥襟を叩く。そのまま引き手で腋を引っ掴むと右大内刈。ケンケンで一歩、二歩と追って場内大歓声も、王子谷は下がるごとに逆に体勢を整え、反時計回りに捩じって大内返。田嶋ひっくり返ってこれは「技有」。この時点で残り時間は12秒のみ、このまま王子谷の勝利が決まった。(戦評・古田英毅)

古田 王子谷選手と田嶋選手の試合から。この準決勝は二つとも西森さんに先陣を切ってもらいましょう。

西森 田嶋選手。前戦では上背・リーチがある原沢選手に対して、そして今回は圧があって体重がある王子谷選手に対して、大枠として真っ向から立ち向かうんですよね。王子谷選手の圧力で場外際に詰まるんですけど、そこでも軽挙せず、俺は踏ん張っているぞ、とアピールして展開を失わずに試合を続ける。この試合でも左の浮腰を見せましたし、とにかく豪胆だな、肝が太いなと思いました。90㎏級の選手が王子谷選手と戦うとなれば、普通はかわしながらヒットアンドアウエイを狙う展開を考えると思うのですが、彼は組み合っている時間がかなり長い。そのぶん疲れたとも思うんですけど、田嶋選手の地力の高さを改めて感じました。勝負どころに関しては、さきほど上水先生が裏事情を教えてくれました。王子谷選手も談話で「あれ(大内刈)は読んでいた」と話していたと思うのですが、田嶋選手が勝負に来るところを待ち構えてきちんと合わせて、ポイントを取り切った。王子谷選手がある意味、余裕をもって戦えていた試合だと感じました。
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