【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第18回「勝ってその勝ちに傲(おご)ることなく負けてその負けに屈することなく安きにありて油断することなく危きにありて恐るることなくただ一筋の道を蹈みゆけ」

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嘉納治五郎師範_MASTER JIGORO KANO

勝ってその勝ちに傲(おご)ることなく負けてその負けに屈することなく安きにありて油断することなく危きにありて恐るることなくただ一筋の道を蹈みゆけ」

出典:「柔道一班ならびにその教育上の価値」 同題講演録小冊子 明治22年(1889)5月
(『嘉納治五郎大系』2巻,132頁)

奥義・・・。非常に魅力的な言葉です。
筆者は奥義という言葉を聞くと漫画「北斗の拳」の<夢想転生>や「るろうに剣心」の<天翔龍閃>といった主人公が厳しい修行と試練を乗り越えた結果、体得する必殺技が思い浮かびますが、皆様はいかがでしょうか。

辞書で奥義という単語を調べてみますと、「学問・芸能・武術などの最も大事な事柄。最もかんじんな点。極意。奥儀。」とあります。残念ながら、必殺技という意味はないようです。

翻ってみて我らが講道館柔道はどうでしょうか?西郷四郎六段(あるいは姿三四郎)の「山嵐」や三舩久藏十段の「空気投」。木村政彦七段の「大外刈」。高田勝善九段の「跳腰」。岡野功六段、古賀稔彦八段の「背負投」。吉田秀彦六段や井上康生六段の「内股」など数え切れない程、その人の代名詞とも呼べる技が浮かんできます。浮かんできますが、これらの技を「奥義」とは言いません。柔道に「必殺技」もとい「奥義」というものは存在するのでしょうか。

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